自主制作アニメ講座:ロトスコープって?

多分一年ぶりくらいの更新かな?

 

惡の花、アニメ版は原作を忠実に再現してるけど、ロトスコープをふんだんに使って原作と似て非なる世界観を構築してる気がします。
・・・というのも、完全に原作に忠実でありつつ、漫画的表現の処理の仕方が何か別の意図に変わってる気がしてならないのです。
僕の主観ですが、漫画版は春日くんの目からみた世界がそのまま描かれている感じ。
アニメでは少し彼から距離を置き、物語をフカンして冷静に語られてるような雰囲気がします。
僕は中学生の時、よく殴りあいの喧嘩をしていました。もちろんアドレナリンが上昇してる僕には効果線が見えたり、相手から黒いオーラが見える気がしたんです。
それを近くの大人が見たとき、きっとすごくシュールな子供の喧嘩だったと思います。

3話だった・・かな?佐伯さんの胸に春日の顔が埋まるシーンのフラットな表現。明らかに漫画と違っていて上記のような違いなのかな・・・と思いました。
漫画版後半は大人のエゴが強調されていたのに対し、アニメでは大人をそこまで悪として演出していない現状を見ると、少し視点がちがう演出を感じます。

され、前置きが長くなってしまいましたが、ロトスコープに関して書いていこうかな!


みんなで楽しくロトスコープ

こんにちは、ピエール伊藤です。
最近私は惡の華というアニメに感化され、色々な悪さをしました。

そこで、ステマってわけではありませんがロトスコについて皆さんに説明していこうかと思います。

ちなみに、私がロトスコープアニメ企画を某アニメ会社に持って行ったとき
Bアニメ社のS社長は「ヌルヌルするねえ、動きがガタガタして面白いよ」と、思い切り失笑されたのをよく覚えています。
そしてその2年後、ロトスコープの大ヒットアニメ「惡の華」・・・。
おぃいいいい!!S木ぃいいいい!!!!(そのうち呑みに行こうぜえええ!!仕事の話以外で呑もうぜえええ!)

まあ、そんな恨みつらみや怒りを込めて、

ロトスコープの概要を簡単に説明しようかな!
みんな~!はっじまるよ~!

○1 ロトスコープが使われてるアニメ一覧
僕の知ってる限りのロトスコ使用のアニメ一欄ね!
・(ディズニー)白雪姫
・涼宮ハルヒの憂鬱(ライブアライブの演奏シーン)
・劇場版けいおん!(4人の足元長回し)
・ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(ピアノ演奏のシーン)

○2 ロトスコープとは
実写トレスってよく言うよね!
その通りなんだけど、このままじゃ誤解があるかもしれないから、ちょっと補足も入れるね!
白雪姫で使われていたロトスコープというのは、フィルム撮影された映像を元に紙上でトレスする方法なんだ。
一秒間に二四コマで描写しているんだ。
・・・うん、お解りいただけるかな?

現代にこんなことやったら、すっげー人件費手間かかっちゃうよね!

だから現代のデジタルロトスコープはもっと簡略化されている場合が多い。
・デジタルビデオによる撮影
・デジタルでの作画
・秒間12(或いは8コマ)の作画

ちなみに、ロトスコープは現代ではマイナーな手法
よって、各業界に制作ノウハウやテンプレートは存在しないのだ

現代、世界のどこを探しても、
1番ロトスコープを円滑に制作できるノウハウや技術を持ち、
安定した制作が即可能なのは惡の華のZEXCS一社に限られると思われる。

最近ではヱヴァQのピアノで使用されたが、惡の華とは全く違う方法を使用している
一番の違いは作画素材の映像を印刷して、それを原画マンが書いている部分である

○3 ロトスコープのメリット・デメリット
普通のアニメと比較してのメリット・デメリットを書きたいと思います
メリットから説明していこう

・実写映像をトレスするため、初心者原画マンにもリアルな動きの作画が可能である
通常、原画マンがアニメとして面白い動きを書くには、数年の修行が必要だが、ロトスコープではそうではない
たしなむ程度にイラストを書く人でも、綺麗に動きをかけてしまうのだ。
(しかし、熟練の日本アニメーターからすると、絵の入抜きのつまらなさや、アニメーションすることその物の意義に関わるので
あまり好まれない部分も多い。
作画するアニメとはぶっちゃけ別の技術が必要とされるため、アニメーターには面白くない映像の場合が多いのだ)

・長回しのシーンでの動きが可能
1に通じる物だが、初心者アニメーターには長回しでの動きというものはとても難しい課題である。
実写思考の演出家としては是非とも入れたいカットだったりするのだ。
しかし、予算と技術の関係でTVアニメではとても難しいものでもある。
実写で撮影した素材をトレスする場合なら一二秒のシーンで96枚の原画作業でなんとかなってしまうのだ
「なら簡単じゃねえかwww」と思った人は、考えてみて欲しい
少年時代、アニメの絵の上に白い紙を置き、なぞり書き作業をしたことがある方は多いのではないだろうか
それと同じことを96枚に施すことがどれだけの苦痛かを・・・。
惡の花では八分にも及ぶ無言のシーンがあった。
しかし、絵はほぼ全て動いていた
単純計算3800枚を超える原画。
「尺伸ばしwww」と書いた君、これはTVアニメ1~2本分の作画枚数なんだ・・・。

・途中での原画マンの入れ替えが可能
普通では絶対にありえない話だ。
1カットを数人のアニメーターで書いたら間違いなく原画はブレる
しかし、ロトスコープでは中盤にアニメーターが変更になった場合でもクオリティはほとんど変わらない。
まあ、あれだよ。



ではデメリット

・良くも悪くも役者の演技が依存する
まあ、トレスだもんね

・顔が実写みたくなりやすい
実写の体に顔だけアニメ風ってのも不可能じゃないけど、
かなり大変だし、骨格がアニメの人と実写の人では違うから、不自然になりやすい

・作画が辛い。特にアニメーターにとっては地獄の所業
楽しくないよ!

・ノウハウがないから、オラどうすりゃいいかわかんねえべ!

・俺、制作進行なんすけど作画コストって普通の原画と同じでいいのかい?監督~!原画さ~ん!・・え、マジで!?・・あ・・・はい・・・。

と言うのが作画上のメリットデメリット

そして撮影上のメリット・デメリット

・カメラマン、音響の数をいくらでも増やせる
通常ありえないことだけど、1カメの画に2カメ、3カメ、音響、照明が写ってもいいんだ。
トレスしなければいい話だから。
ヱヴァQでは30台前後のカメラが1気に撮影したんだって。
多分このカメラ台数は、ロトスコ史・アニメ史・映画史で初の試みじゃないかな

・照明で映像のトーンをいじる必要がない
まあ、やるに越したことはないけど、必要ない。
役者のアウトラインがきちっと映ればそれでいい

・雨の夜のシーンを昼間晴れた状態で撮れる
むしろ昼間とったほうがいい

・外部ロケの映像が編集時に左手が突然右手のカット飛び。じゃあその辺のスタジオか会議室で撮りたそう
実写だったら始末書ものなことでも、アリだったりする

・グリーンバック撮影?いや、そのまま撮ろう
これも、ロトスコならでは

・被写界深度の浅いカメラって、たかいよなあ・・・。え、むしろセンサ小さいほうがいいの!?
コスト削減

デメリットはあんまり思いつかないけど、撮った映像がそのまま使われないさみしさかと

○4 実際にロトスコをやってみよう!

さっきも言ったとおり、ロトスコに決まった方法はないんだ・・・。

気をつける部分としては、
・3脚でしっかりカメラを固定する
・アウトラインが綺麗に出るよう、明るい場所で撮影する
・白い服・黒い服はなるべく選ばない(重要)選んでもディティール強調のため、ポケットやボタンはマジックで書き足そう
・フレームレートはHD60p撮影だと、後々困らない。スローもスピードアップもできる。編集時に8フレームか12フレームに落とすこと
・柄の細かい衣装や小道具は作画時に命取りになる。気を付けよう
・アップよりロングショット多めの方がいいかも(憶測)
・背景はあとでいくらでもぼかせるから、1眼等でぼかしたりせず、全景をハッキリ撮そう
・BG(ONRY)用の写真素材をロケ地で100枚以上撮っておくと後々助かったりする
・・・といった部分かと。
また、実写全般のことだけど、素材を増やしすぎると後々編集が大変です。

編集は作画・編集の経験がある人の方が安全かと。

動画を1度8fpsのBMPに変換し、1枚づつフォトショ・SAI・イラスタ・レタス等でトレス、彩色して完成です。
(多分↑の作業を一括で処理できるソフトは少ないので、どこかで開発していただけると嬉しいですね・・・。)
影分けを実写に忠実にすると、CGみたいになってしまうので注意が必要かと。
また、細かい文字やディテールをAEで追加してみるのもいいと思います。

そして長濱監督!よかったら2期ではエキストラに使ってください(笑)

コメントをお書きください

コメント: 8
  • #1

    ロートル (月曜日, 22 2月 2016 09:22)

    その昔、シャープWラジカセのCMで漫画家『上條淳士』のキャラにチョッパーベースを弾かせたアニメがありまして、ソレの演奏部分もロトスコープだった様に思います。後藤次利氏の演奏を録って使用したとかで、白組(http://www.shirogumi.com/about/)が当時のCMを手がけたんじゃなかったかなぁと。

  • #2

    あかね (水曜日, 06 4月 2016 20:11)

    初めて知りました。
    初心者には最適の方法だと思いました。
    ちなみに私が初心者です。
    どうしても作りたいアニメーションがあります。
    次更新を楽しみにしています。
    ブクマしました。

  • #3

    ピエール伊東 (木曜日, 07 4月 2016 13:37)

    あかねさんコメントありがとうございます!
    どうしても作りたいアニメーション、是非完成させてくださいね!
    ロトスコープは体力と精神を削られる作業ですが、その分滑らかな動きが描けるので楽しいですよ!
    ゆっくりですが更新がんばりますー!

  • #4

    ひろな (金曜日, 18 8月 2017 16:45)

    はじめまして。
    質問なのですが、AEで実写動画を8fpsに変換しPNGの連番保存して一枚一枚PSで色つけししてから、AEに戻し動画編集する行程でもロトスコープアニメできますでしょうか?
    bmp画像に変換しなくてもできますか??

  • #5

    ピエール伊藤 (金曜日, 18 8月 2017 16:52)

    コメントありがとうございます!
    AEで8フレームの連番PNGにする方法でも大丈夫です!
    BMPと書いてあるのは、あくまで静止画に変換するという意味合いなので、PNGでもJPEGでも大丈夫です!(JPEGはトレス時に特有の粒子が気になる場合があるので推奨はしませんが)

  • #6

    ひろな (金曜日, 18 8月 2017 17:02)

    お返事ありがとうございます!
    とても参考になりました!

  • #7

    sekstelefon (水曜日, 01 11月 2017 03:39)

    pięćsetka

  • #8

    sex telefon (金曜日, 17 11月 2017 21:12)

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